

クライアント中心療法
はーとメンタル研究所のカウンセリングの基礎となっている「クライアント中心療法」について、
すこしご説明させていただきます。
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クライアント中心療法の概念として人間は誰しも、潜在能力や自己成長能力としての実現化傾向を持っているという考えがベースにあります。それらを阻害する外的圧力を取り除きさえすれば、人は自然とよい状態に成長できるというのです。
したがって、クライアント中心療法の目的は、症状の消去ではなく、自己概念と経験的自己の自己一致となります。
クライアント中心療法におけるカウンセラーの3つの基本的態度は、
「無条件の肯定的関心」「共感的理解」「自己一致」です。
それぞれについて、もう少し詳しく確認しておきましょう。
「無条件の肯定的関心」は、無条件の肯定的配慮、あるいは無条件の肯定的受容などとも呼ばれます。
クライアントの表現したものがどんな内容であろうとも、カウンセラーは批判や評価などの一切の価値判断をせず、
ありのままに受容することです。
「共感的理解」は、文字からイメージされる同情や同一視とは、似て非なるものです。
同情は聞き手の経験則にそって、理解しようとすること。同一視は聞き手の感情と相手の感情が同じだと思い込み、
聞き手の立場から理解しようとすることです。
これに対し、「共感的理解」は、まずカウンセラーが「相手は自分と違う」という前提に立つことが特徴です。
その上で、自分の持つ価値感や規範意識を棚上げし、相手を理解しようとするのです。
「自己一致」は純粋性、真実性ともいいます。
自己概念に固執せず、それに反するものも含めたすべての感情や内的状態に気づいており、
それをきちんと受け入れている状態のことを指します。
「自己一致」を目的とするこの治療において、カウンセラー側がモデルとして機能するためにも、
カウンセラーのこの態度は重要なのです。
つまりカウンセラー側の知識の量や権威は不必要とされ、それよりも、カウンセラーの態度、すなわち、無条件の肯定的関心、共感的理解、自己一致をどう実現するかが重視されます。カウンセラーの態度条件を満たすためには、
カウンセラー自身の自己実現が求められる事となります。
ロジャーズのカウンセリング論の特徴は人間に対する楽観的な見方にあり、それはフロイトに見られるような悲観論とは対照をなすものです。ロジャーズによれば、人間には有機体として自己実現する力が自然に備わっています。有機体としての成長と可能性の実現を行うのは、人間そのものの性質であり、本能です。カウンセリングの使命は、この成長と可能性の実現を促す環境をつくることにあります。
自分自身を受容したとき、人間には変化と成長が起こります。カウンセラーは、クライアントを無条件に受容し、尊重することによってクライアントが自分自身を受容し、尊重することを促すのです。
なお、ロジャーズははじめて心理療法を受診する人を「患者」ではなく「クライアント」と称しました。