
太宰治の言葉
道化。それは、自分の、人間に対する最後の求愛でした
笑われて、笑われて、つよくなる
ひとの恋愛談には、かならず、どこかに言い繕いがある
その運命は同じ事。どっちにしたって、引き返すことは出来ないんだ
君は、ありもしない圧迫を仮想して、自身の影におびえているのです
恋愛は、チャンスではないと思う。私は、それを意志だと思う
弱虫は、幸福をさえ、おそれるものです
綿で怪我するんです。幸福に、傷つけられる事もあるんです
怒涛に飛び込む思いで、愛の言葉を叫ぶところに、愛の実体があるのだ
てれくさくて言えないというのは、つまりは自分を大事にしているからだ
男って、正直ね。何もかも、まる見えなのに
それでも、何かと、女をだました気でいるらしいのね
なぜ、生きていなければならないのか、それが、全然わからないのです
理窟はないんだ。女の好き嫌いなんて、いい加減なものだと思う
大人とは、裏切られた青年の姿である
僕は今まで、説教されて、改心したことが、まだ一度もない
説教している人を、偉いなあと思ったことも、まだ一度もない
僕は、ひとりの女をさえ、註釈なしには、愛することができぬのだ
子供より親が大事、と思いたい。子供よりも、親の方が弱いのだ
親が無くても子は育つ、という。私の場合、親が有るから子は育たぬのだ
きょう一日を、よろこび、努め、人には優しくして、暮らしたい
幸福の便りというものは、待っている時には決して来ないものだ
勉強の訓練の底に、一つかみの砂金が残っているものだ
これだ。これが貴いのだ。勉強しなければいかん
人生には、こんな一刻もあるのだ。この素晴らしい幸福感を、充分に味わえ!
美しさに、内容なんてない。 純粋の美しさは、いつも無意味で、無道徳だ
怒る時に怒らなければ、人間の甲斐がありません
人間、失格。もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました
不良でない人間が、いるだろうか
若いころの騒慢の翼は、ただ意味も無く、はばたいてみたいものなのです
愛することは、いのちがけだよ。甘いとは思わない
寂しい時に、寂しそうな面容をするのは、偽善者のすること
寂しさを人にわかって貰おうとして、顔色を変えて見せているだけなのだ
絶望の壁の存在を、生れてはじめて、知ったような気がした
駄目な男は、幸福を受け取るにさえ、下手くそを極めるものだ
本当の気品というものは、真黒いどっしりした大きい岩に、白菊一輪だ
本能、という言葉につき当ると、泣いてみたくなる
人は人に影響を与えることもできず、また人から影響を受けることもできない
人間はいつかしら、一縷の希望の糸を、手さぐりで捜し当てているものだ。
人生とは、私は確信を以て、それだけは言えるのであるが、苦しい場所である
生れて来たのが、不幸の始まりである
人は、どうしても何かの予言に、 すがりつきたくなるものでございます
人には、宿命というものがあるんだよ
古い気取りはよそうじゃないか。それはもうたいてい、ウソなのだから
安楽な暮らしをしているときは、絶望の詩を作る
日く、家庭の幸福は、諸悪のもと
ひしがれた暮らしをしているときは、生のよろこびを書きつづる。
家庭の事情を、語ってはならぬ。 身の苦しさを、語ってはならぬ
人から尊敬されようと思わぬ人たちと、遊びたい
けれども、そんないい人たちは、僕と遊んでくれやしない
君の、昨日までの苦悩に、自信を持ちたまえ。僕は、信じている
信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題でないのだ
鉄は、赤く熱しているうちに、打つべきである。
まことに苦しんだものは、報いられる。堂々と 幸福を要求したまえ
愛は、言葉だ
私は、晩年の芸術というものを、否定している
それは、世間が許さない。世間じゃない。あなたが、許さないのでしょう?
いまに世間から葬られる。世間じゃない。葬るのはあなたでしょう?
私は、確信したい「人間は、恋と革命のために、生まれてきたのだ」と
恋愛とはなにか。私は言う。それは、非常に恥ずかしいものである
愛し合っていても、口に出して言わなければ、その愛がわからない
不幸せな人は、他人から同情されると、一層、不幸せに思われてくる
いや、誰に理解されなくてもいいのだ。私の愛は、純粋の愛だ
私の愛は、人に理解してもらう為の愛ではない。
恋愛は、チャンスではないと思う。私は、それを意思だと思う
「男女同権」とは、男の地位が、女の地位まで上がったことなのです
わが身に、うしろ暗いところが、一つもなくて生きていくことは、不可能
何もしない先から、僕は駄目だと決めてしまうのは、怠惰だ
ちかごろの僕の生活には、悲劇さえ無い
生と死、愛と憎、光と影。人はこの矛盾を、同時に生きなければならない
私の数ある悪徳の中で、最も顕著の悪徳は、怠惰である
強いて言えば、おれは、めしを食うとき以外は、生きていないのである
人間は、何か一つ触れてはならぬ、深い傷を背負って、生きている
青空は、牢屋の窓から見た時に、最も美しい
怖しいのはね、この世の中の、どこかに神がいる、という事なんです
言葉は、短いほどよい。それだけで、信じさせることができるならば
僕は、心の弱さを隠さない人を、信頼する
嘘ではなかったのは、生まれたことと、死んだことと、二つであった
侮辱を受けたと、思ひこむやいなや、 死なんかなと、もだえる
汚辱の中にいながらも、堪え忍んで生きている男もいるのだ
たった四日の思い出の、ああ、一生涯にまさることがある。
自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです
窮極の問題は、私がいま、なんの生き甲斐も感じていないという事に在った
いちばん恐ろしいのは、孤独である
自分を駄目だと思い得る人は、それだけで、既に尊敬するに足る人物である
僕は、どうも芸術家というものに、心をひかれる欠点を持っているようだ
私は、誰にも知られずに狂い、やがて、誰にも知られずに治っていた
嘘のない生活 。その言葉からして、すでに嘘であった
人間の生活の苦しみは、愛の表現の困難に尽きるといってよいと思う
悪趣味。いまになって、僕の心を苦しめているのは、この一言である
なんにも書くな。なんにも読むな。なんにも思うな。ただ、生きて在れ!
よそう。おのれをあざけるのは、さもしいことである
毎日毎日が、奇蹟である。いや、生活の、全部が奇蹟だ
悪漢は、長生きする。綺麗なひとは、早く死ぬ。
私は、恋、も知らなかった。愛、さえ、わからなかった
心細さ。これが、あの、不安、とかいう感情なのであろうか
芸術の美は、所詮、市民への奉仕の美である
餓死するとも借金はするな。世の中は、人を餓死させないように出来ています
汝を愛し、汝を憎む
本当に愛していれば、かえって愛の言葉など、白々しくて言えない
今は自分には、幸福も不幸もありません。ただ、いっさいは過ぎて行きます
最後に問う。弱さ、苦悩は、罪なりや
冷酷は、ちゃちなガラスの器物の如きもので、いかなる花ひとつ、咲きいでず
明日の恐怖を語ってはならぬ。 人の思惑を語ってはならぬ
愛は、この世に存在する。きっと、ある。見つからぬのは、愛の表現である
絶望は、優雅を生む
生きている限りは、 みじめになりたくないのです
明日のことを思い煩うな。明日は明日、みずから思い煩わん
愛は最高の奉仕だ。みじんも、自分の満足を思ってはいけない。
ごまかそうとするから、いろいろと、むずかしくなって来るのだ
人から、おだてられて得た自信なんて、なんにもならない
心の弱さを生きて行くためには、愛をさえ犠牲にしなければならぬ
今はもう自分は、罪人どころではなく狂人でした。真に、恥知らずの極でした
私には、常識という事が、わからないんです
苦悩を売物にするな、と知人よりの書関あり
私は、純粋というものに憧れた。無報酬の行為。全く利己の心のない生活
片恋というものこそ、常に、恋の最高の姿である
相互の尊敬なくして、真の結婚は成立しない
本を読まないということは、 そのひとが孤独でないという証拠である
人生は、決して、興奮の舞踏の連続ではありません
好きだから好きと、言ったのに、嫌いになったら嫌いになったと、言えない
嫉妬というものは、なんという救いのない狂乱、醜怪きわめたもの
「自分は余計者だ」という意識ほど、つらい思いは世の中に無い
恥の多い生涯を、送って来ました
万人を、愛しているということは、誰をも、愛していないということだ
覚えておくがよい。おまえは、もう青春を失ったのだ
人間は、「絶望」という観念にもあざむかれる事がある
友情。信頼。私は、それを「徒党」の中に見たことがない
嫉妬。それがお前の、愛されたいと念じた揚句の収穫だ
僕はもうなにも言うまい。言えば言うほど、僕はなんにも言っていない
男には、不幸だけがあるんです。いつも恐怖と戦ってばかりいるのです
人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ
許す心。大きな広い心持て。カリカリしない
私は、自分の嘘を信じようと思った
私は、生れた時から正直な男であった。正直な男のまま、死なせて下さい
甲斐ない努力の美しさ。 われはその美に心をひかれた
友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからな
好きな人には、一刻も早く、偽らぬ思いを、飾らず打ちあけておくがよい
生きる事は、芸術でありません。極言すれば、小説も芸術でありません
信じて敗北する事に於いて、悔いは無い。 むしろ永遠の勝利だ
その日その日を、引きずられて、暮しているだけであった
きたない打算は、やめるがよい。率直な行動には、悔いが無い
幸福は、そのまま素直に受けたほうが、正しい。逃げる必要は、ない
一日の労苦は そのまま、一日の収穫である
議論とは往々にして、妥協しがたい情熱である
私は、人に接する時、どんなにつらくても、楽しい雰囲気を創る事に努力する
是非とも、戦いとらなければならぬものがあった。恋。それだけ
自分は、いったい幸福なのでしょうか。つまり、わからないのです
僕は、生きて行くのに、どこか一つ欠けているんです。足りないんです
人の心を疑うのは、もっとも恥ずべき悪徳だ
メロス、君は、真っ裸じゃないか。早くそのマントを着るがいい
もう一度、あの野望と献身の、ロマンスの地獄に飛び込んで、くたばりたい!
自分は、いつのまにやら、一言も本当の事を言わない子になっていたのです
自分は、お道化たお変人として、次第に完成されて行きました
生きているのが、悲しくって仕様が無いんだよ
わびしさだの、淋しさだの、そんなゆとりのあるものでなくて、悲しいんだ
「生活とは、何ですか」「わびしさを、堪える事です」
おまえらは、私の心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった
とにかくね、生きているのだからね、インチキをやっているに、違いないのさ
あの人の弱さが、かえって私に、生きて行こうという希望を与える
彼等の議論は、なにひとつ、真実を言わぬ、道化
タンポポの花一輪の、信頼が欲しくて、一生を棒に振った
人を平気でからかうのは、卑劣な心情の証拠。罵るなら、ちゃんと罵るがいい
私は、挨拶の下手な男である。へどもどと、まごつくのである
何が欲しいと聞かれると、とたんに、何も欲しくなくなるのでした
自分の立場ばかりを計算して、あたりさわりの無い、短い返辞をしていた
おまえの兄の、一ばん嫌いなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ
ひとをだまして、「尊敬され」ても、誰かひとりが、知っている
しつこく口論を吹っかけられた場合には、君も淋しい男だね、とこう言え
しかし、これこそ胸底にひた隠しに隠している、自分の正体なのだ
この人たちも、こうでもしなければ、生きて行かれないのかも知れない
お説教なんて、自己陶酔だ。わがままな気取りだ
本当に偉い人は、ただ微笑して、こちらの失敗を見ているものだ
いっそ牢屋のほうが、楽かも知れないとさえ考えていました
世間とは、いったい、なんのことでしょう。どこに、実態があるのでしょう
ああ、人間は、お互い何も相手をわからない
自分にとって、「世の中」は、やはり底知れず、おそろしいところでした
奴隷でさえ、奴隷らしい、卑屈なシッペ返しを、するものだ
けれども悲しいことには、彼等は腹の底から笑えない
笑いくずれながらも、おのれの姿勢を気にしている
人間は、こぶしを固く握りながら、笑えるものでは、無いのである
後ろで誰か見ているような気がして、私は、いつでも何かの態度を作っていた
いったいに、女は、男よりも、快楽をよけいに、頬張る事が出来るようです
不幸な人は、ひとの不幸にも、敏感なものなのだ
真実というものは、案外、自分が厭だと思っている所に、在るのかも知れない
私の悪徳は、みんな贋物だ。告白しなければ、なるまい。身振りだけである
他人から、なにか言われると、飛び上って、騒ぎたてる
人は、たまには、 苦痛の底でも、うっとりしていたって、いいではないか
幸福は、それをほのかに期待できるだけでも、それは幸福なのでございます
金の切れ目が、縁の切れ目、って、本当の事だよ
人生の出発は、つねにあまい。まず試みよ。破局の次にも、春は来る
女は、男よりもさらに、道化には、くつろぐ
自分の不幸は、拒否の能力の、無い者の、不幸でした
初めて逢ったひとには、いっぷう変っているように見せたくてたまらないのだ
神経質な、ものにおびえ易い人ほど、暴風雨の、更に強からん事を祈る
私は、歴史的に、悪役を買おうと思った
ユダの悪が強ければ強いほど、キリストの優しさの光が増す
美しいと感じたものを、そのまま美しく表現しようと努力する甘さ、愚かしさ
青春の感激だとかいう言葉は、聞いて寒気がして来て、とてもついて行けない
人生には試みなんて、存在しない。やってみるのは、やったのと同じだ
騙される人よりも騙す人の方が数十倍苦しいさ。地獄に落ちるのだからね
自分は教科書的な正義とか道徳には、あまり関心が持てないのです
欺き合っていながら、清く明く朗かに生きている人間が難解なのです
なぜ生きていなければいけないのか、その問に悩んでいるうちはダメ
芸術は、命令することができぬ。芸術は、権力を得ると同時に死滅する
私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ!メロス
虚無を堪えて、やさしい挨拶送るところに、誤りない愛情が在る
おまえの寂しさはわかる。けれども、不機嫌な顔をしていては、いけない
「ね、なぜ旅に出るの?」「苦しいからさ。」「ちっとも信用できません」
いまの世の中で、一ばん美しいのは犠牲者です。
数々の大恩に報いる事は、おそらく死ぬまで、出来ないのではあるまいか
叔母が言う。「お前は嘘がうまいから、行ないだけでもよくなさい」
他の生き物には絶対に無くて、人間だけにあるもの。それはね、秘め事
いよいよ別れる時に、彼は私の耳元で烈しく、こう囁いた。威張るな
不良とは、優しさの事ではないかしら
年月は、人間の救いである。忘却は、人間の救いである
惚れられるつらさ、愛せられる不安。
幸福感というものは、川の底に沈んで、かすかに光っている砂金のようなもの
生まれて、すみません
不良とは、優しさの事ではないかしら
善をなす場合には、いつも詫びながらしなければいけない
善ほど、他人を傷つけるものはないのだから
あなたお一人さえ、おわかりになって下さったら、それでもう、よいのです
私は、やけ酒を飲むばかりであった。私の最も憎悪したものは、偽善であった
富士には、月見草がよく似合う
花も葉も芽も、何もついていない、こんな枝がすき。ちゃんと生きている
人間は嘘をつく時には、必ず、まじめな顔をしているものである
生きている事。ああ、それは、何という息も絶え絶えの、大事業であろうか
以上
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